【USJを劇的に変えた、たった1つの考え方】(森岡 毅)ビジネスパーソン必読の書|要約・書評
お疲れ様です。沖縄リーマンライフです。
今回ご紹介するのは、森岡 毅さんの「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」です。
USJをV字回復に導いたことで有名なマーケター、森岡毅さんのビジネス書です。
この本では、ビジネスで成功したい全ての人に向けて、わかりやすくマーケティングの基礎・考え方が解説されています。
マーケティングと言うと、
- TVCMなどの広告宣伝をしている
- 市場調査をしている
部門・人の仕事というイメージがあると思います。
実はマーケティングはその程度のものではありません。
マーケティングの基本の考え方である「マーケティング思考」は、あらゆる仕事の業務効率や成功確率を上げるものなのです。
また、根本にある戦略的な考え方は期待される成果を上回っていくための必勝法であり、それは仕事だけではなくキャリアの成功にも通じるものです。
- どのように考えれば成功確率が高まるのか
- 次に行動すべき焦点は何なのか
マーケティング思考を学んで、ビジネス・キャリアの成功を掴むきっかけにしていきましょう。
こんな方におすすめ
- マーケターではない社会人
- 若手会社員
- マーケティング部門に従事している方
- 今後のキャリアを考えている方
- 転職を考えている方
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」の概要
森岡毅さんの「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」ってどんな本?
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」は2016年4月23日に発売された書籍です。
全261ページの本なので、5時間程度で読み終えることができます。
マーケティングを知らない方が読んでもわかりやすい内容です。
マーケティング思考を知り、ビジネスやキャリアの成功を掴む後押しをしてくれます。
著者の森岡毅さんってどんな人?
- 株式会社刀 代表取締役CEO
- 戦略家、マーケター
- P&G、USJを経て刀を設立
- 沖縄テーマパーク「JUNGLIA ジャングリア」を手がけられています
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」の目次
- プロローグ USJがTDLを超えた日
- 第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり
- V字回復の着眼点とマーケティングの役割
- 変えたのは1つだけ
- なぜ「消費者視点」は簡単にできないのか?
- 第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない
- 多くの日本企業は「技術志向」に陥っている
- TVCMから日本のマーケティングの現状を考える
- マーケティングはもともと日本にはなかった学問
- マーケティングが日本で発達してこなかった理由
- 「技術」と「マーケティング」の両方を手に入れた企業が勝つ
- 第3章 マーケティングの本質とは何か?
- マーケターって誰のこと?
- マーケティングって何?
- マーケティングの本質
- 第4章 「戦略」を学ぼう
- 戦略って何?
- 戦略的に考えるってどういうこと?
- 良い戦略と悪い戦略をどう見分けるのか?
- 第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう
- マーケティング・フレームワークの全体像
- 1.戦況分析(Assessing The Landscape)
- 2.目的の設定(Objective)
- 3.Who(誰に売るのか?)
- 4.What(何を売るのか?)
- 5.How(どうやって売るのか?)
- Who・What・Howが全てうまくいくとビジネスは爆発する!
- 第6章 マーケティングが日本を救う!
- 日本って素晴らしい
- 日本人の戦術的な強み
- 合理的に準備して、精神的に戦う
- マーケティングが日本を救う
- 第7章 私はどうやってマーケターになったのか?
- 会社と結婚してはいけない
- 「実戦経験」の積み重ねでしかマーケターは育たない
- 人を育てる伝統
- 成長できる環境で貪欲に泳ぐ
- 第8章 マーケターに向いている人、いない人
- マーケターに向いている4つの適性
- 「スペシャリスト」か「ゼネラリスト」か?
- マーケターに向いていない人
- 第9章 キャリアはどうやって作るのか?
- うどん屋の大将の年収は決まっている
- 玉数を知った上で、必ず好きな台に座ること
- 会社ではなく「職能」を選ぶ
- 強みを伸ばして成功する
- なかなか変われないのはなぜか?
- 自分の強みを知るにはどうするか?
- 常に前向きに、目的を持つ
- エピローグ 未来のマーケターの皆さんへ
学び・レビュー
USJを劇的に変えたたった一つの考え方とは?マーケティングの役割を考える
結論、「消費者視点(Consumer Driven)」という価値観と仕組みに変えたこと=消費者視点の会社に変わったことと述べられています。
USJの例では、「ゲストが本当に喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致しないということです。
つまりは、「作ったものを売る会社」から「売れるものを作る会社」に変わったのです。
皆さまが所属している組織・会社はいかがでしょうか。
もしマーケティング部門があるのであれば、次の定義と照らしてよく考えてみてください。
- マーケターは、消費者理解の専門家=消費者の代理人である。
- マーケターの仕事は、会社のお金の使い道や従業員達のあらゆる努力を、消費者にとって意味のある価値に繋がるようにシフトさせること。
いかがでしょうか。
まだまだ、開発側(作り手)が生み出したものをどうやって売るかを考え実行している、ケースが多いのではないでしょうか。
マーケティングに期待される役割は、
- トップライン=売上を伸ばすこと
- 売上を伸ばすための会社の頭脳であり心臓であることです。
容易ではないですが、消費者視点であり、消費者価値を最大化させるために全社を統一させて牽引していく存在でなければなりません。
ですが実態として日本企業の多くは、マーケティングを広告宣伝の担当部門や営業支援程度しかできていないと本書でも指摘されています。
また、ひどい場合にはその広告や支援も、自社でやっているというより代理店の提案に対して好みをぶつけている程度のものもあると言います。
マーケティングが会社全体を引っ張り売上を牽引できていない背景に、〇〇を開発したから売り出そうといった技術志向、プロダクトアウトな考え方が根強い点があります。
- わかっていても業務で思うように動けない
- また大企業のように組織が大きくなると、なかなか業務で影響を与えきれない
ところもあると思います。
そんな時は小さく、周りから、簡単なことから始めるのでも良いと私は考えます。
業務の面でマーケティング思考で取り組みたいところですが、いきなり仕事で馴染ませるのが難しければ、
まずはこの本を読んでみんなでランチに行って読書アウトプット会をするだけでも、自分ごとで捉えられるようになると思います。
上司やマネージャーや経営は、そんな小さな輪が会社全体に点在すれば、自然と組織全体の思考が良くなり業績に効いて来るかもしれませんね。
マーケティングの基礎を学ぶ
マーケティングの本質
ここでの教えは、マーケティングは「売れるようにする=売れる仕組みを作る」ことで、売れる仕組みは消費者とブランドの接点をコントロールして作るということです。
具体的には次の3つです。
- 消費者の頭の中を制する
- 店頭を制する
- 商品の使用体験を制する
消費財を扱っている方はイメージしやすいかもしれませんが、他の商材やサービスでも抽象化して捉えられるかと思います。
- 自ブランドの認知率を高め、選ばれる必然になるようなブランドエクイティー(消費者の頭の中にあるブランドに対する一定のイメージ)を意図的に構築する=ブランディング。
- 消費者がブランドを購入する可能性を最大化させるように配荷率、山積率、価格などの展開に注意する。
- 消費者価値を上げる商品開発をマーケティングがリードして、事前期待を超えてリピートしてもらえるようにする。
何か品質に不具合があって嫌な体験をしたら次は買わないことが多いですよね。また、わかってくれている!といった感動した商品やサービスってファンになりますよね。
マーケターはパーチェス・フローを使って、目的達成への必要条件を導き出し、全社横断的に流れの悪い部分を改善していくのです。
戦略
戦略(Strategy)とは、目的を達成するための資源配分の選択のことで、戦術は戦略を実行する具体的なプランのことです。
戦略的に考えるとは、目的→戦略→戦術の順に大きいところから考えることです。
人やお金など様々な資源には限りがあるので、目的達成のための資源利用の指針に基づいて、具体的に計画を立案・実行していきます。
同じくP&G出身の音部大輔さんの「なぜ戦略で差がつくのか」もおすすめです。分厚い本ですが読み応え抜群です。
マーケティング・フレームワーク
マーケティングを考えるときの基本となる型です。
この型に沿って考えていくことで、整合性のある戦略と戦術を生み出しやすくなると解説されています。
具体的には、戦況分析→目的→Who→What→Howの順番で考えていきます。
戦況分析で市場構造を理解し、戦場を把握して地雷を避ける、市場を味方につけられるような戦略がないかを考えます。視点としては、5C分析と言われる以下の5つです。
- Company(自社)
- Consumer(消費者)
- Customer(中間顧客)
- Competitor(競合)
- Community(ビジネス環境)
目的設定は不可能ではないが実現性のあるギリギリの高さを狙う。シンプルであることが重要です。
Whoは資源を投下する目標(ターゲット)である消費者。
大きなくくりを戦略ターゲット、特に集中投資するくくりをコアターゲットと呼びます。
コアターゲットが定まると、その深い深層心理を探ります。それが消費者インサイトと呼ばれる、消費者の深層心理に隠された真実のことです。ここをつくことで認識や感情、購買行動に変化をもたらすことができます。
ニーズはすでにわかっていることなので、指摘されても否定も驚きもされません。理性をハッとさせるか、感情を深くエグるものと述べられています。
Whatはブランドエクイティの中で、消費者がブランドを買う根源的な理由、ベネフィット=便益のことです。
HowとはWhatをWhoに届ける仕掛けのことです。
キャリア
最後にキャリアについてです。キャリアについても、戦略的に考えることができますよね。
例えば、会社ではなく職能を選ぶということ。
森岡さんは、会社とは結婚してはいけない、職能(スキル)を選んでそれと結婚すること。そうして培われたスキルは自分をプロとして自立させていくと述べられています。
また、入社されたらその会社の中で身につけるべき職能は何なのかを、早く明確にしておくべきとアドバイスもされています。
若手の方に限らず、異動や社内事情でその職能の成長が頭打ちになることも出てきますが、そんな時は職能の成長のために環境や会社を能動的に変えれば良い。と断言されています。
常にそうやってプロとして職能に投資し続けていくと、自分を欲してくれる会社はいくらでもありますし、自分の職能を軸にして、時期に応じて働く会社を選べば、さらに成長し続けることができるようになると。
それが職能と結婚するということです。
今にこだわりを持てているのか、改めて自分を見つめ直すのも良いかもしれませんね。
まとめ「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」を読み終えた感想
今回は【USJを劇的に変えた、たった1つの考え方】(森岡 毅)ビジネスパーソン必読の書|要約・書評についてご紹介してきました。
- 業務の効率・成果を上げるためにマーケティングを知るべき
- 会社を成長させるためには、真に消費者視点であるべき
- 職能にこだわってキャリアを歩むのが良い
などそれぞれ思うことがおありかと思います。
本書でマーケティング思考に触れるだけで、個人のキャリアから業務、会社の経営など多岐に渡って必須の知識であることに納得されたのではないでしょうか。
少しでも実戦経験が積んでいけるように、戦略的に考え成長していきたいですね。
改めて
- マーケターではない社会人
- 若手会社員
- マーケティング部門に従事している方
- 今後のキャリアを考えている方
- 転職を考えている方
など、ぜひ一度読んでみてください。ありがとうございました!