【ヤッホーとファンたちとの全仕事】(佐藤 潤)よなよなエールに学ぶ|要約・書評
お疲れ様です。沖縄リーマンライフです。
今回ご紹介するのは、ヤッホーブルーイングの佐藤潤さんの書籍「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」です。
マーケティングや新規事業開発の仕事をする皆さまにとって、
どうすればお客様に
- 知っていただけるのか
- 選んでいただけるのか
- リピートしていただけるのか
- ファンになっていただけるのか
など、ブランディングや施策の企画立案に悩まれることが多いと思います。
そこで、よなよなエールを筆頭にファンから愛され続けているヤッホーブルーイング社の取組みに、そのヒントを得たいと思います。
結論、マーケティングの技法を駆使してことを成したというよりも、
お客様と真剣に向き合い対話・コミュニケーションを育むことで、お客様、社員一人ひとり、組織、経営と好循環をつくりだされています。
その考えや取組みに触れていきましょう!
こんな方におすすめです
- マーケティングの実務をしている方
- 起業を志している方
- 経営に携わっている方
- ファンづくりのヒントを得たい方
- お店を経営している方など
「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」の概要
佐藤潤さんの「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」ってどんな本?
「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」は2021年7月5日に発売された書籍です。
全239ページの本なので、4時間程度で読み終えることができます。文字も大きく写真も豊富でとても読みやすいです。
表紙も、クラフトビールの商品写真がおしゃれで手に取りたくなりますね。
著者の佐藤潤さんってどんな人?
- カルチュア・コンビニエンス・クラブに新卒入社。インターネット事業部にて事業立ち上げや宣伝を担当。
- ヤッホーブルーイングに中途入社。通販・プロモーション・ファンベースマーケティングの各部門長を歴任。
- ファンとのコミュニケーション施策を設計する「よなよなピースラボ」を立ち上げ、ラボ長に就任。
- 好きなビールはよなよなエール。
「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」の目次
- ”てんちょ”からごあいさつ
- 1章 なぜヤッホーブルーイングは、ファンをこれほど大切にしているのか
- ファンとの結びつきはビジネスではない
- ファンは2つの”好きの階段”を上る
- 2割のファンが8割の売り上げを支える「パレートの法則」
- ファンと一緒なら荒波も乗り越えていける
- 2章 ローソンと共同開発「僕ビール君ビール」に見るファンづくりの神髄
- 「ビールは自分たちの飲み物ではない」が若者の本音だった
- SNSを活用した超低予算プロモーションが大成功
- 「心配と不安」を正直に伝えたらファンが共感してくれた
- 3章 醸造所見学は、愛されるための入り口 総出でファンの知りたいに応える
- ファンに会うことは、百利あって一害なし
- スタッフ自らがガイド役をすることに意味あり
- 「知る・学ぶ」ことで会社の価値観にも共感
- 4章 ファンが自信を深める場所 公式レストランの本当の価値
- 豊かな世界のビール文化を直に体験
- 限定ビールの開栓イベントには醸造士も駆けつける
- 自分の意思決定が正しかったかを答え合わせしたい
- 5章 なぜ5,000人が「超宴」に夢中になるのか ヤッホー流イベント企画術
- ファン同士だけでなくスタッフとの絆も深まる「宴」
- 参加者数8年で125倍、規模拡大の中で見えたもの
- 昔からのファンが教えてくれた「仲間」の本当の意味
- オンラインでも1万人が集まってくれた
- イベントってもうかる?その答えは…
- 6章 「ヤッホーが大変そうなら私たちがやります」 自ら動き出すファンたち
- ビール会社なのに「ノンアルイベント」を仕掛けた理由
- ファンとビールの未来を真剣に考える
- 本当に披露宴でテイスティングセミナーをしたBさん
- 経営情報までファンと共有して分かったこと
- ファンの素敵なサプライズに思わず涙
- 7章 ファンとのエンゲージメント効果は「NPS+熱狂度」で検証する
- TOP2BOXよりTOP1BOXを重要視すべき
- 愛着度をクロス集計すると様々な真実が見えてくる
- KGIは「売り上げ」でなく「熱狂度」に設定する
- オンラインでコミュニケーションはさらに深化する
- SNSだってワンツーワンで
- 売り上げは本当に後から付いてきた
- 8章 全員が「知的な変わり者」を目指す フラットな組織文化が人を育む
- 源泉は「ガッホー文化」にあり
- フラットな組織文化の一歩はニックネームから
- 雑談朝礼を繰り返した先に相互理解あり
- スタッフ一人ひとりの強みを見いだす「クリフトンストレングス」
- 自分のユニットの仕事は8割、残りの2割はプロジェクトに
- 「日本一働きがいのある会社」を目指して
- 9章 「よなよなエール」がファンに愛されるまで 長くて厳しい歴史と道のり
- きっかけは米国で創業者が飲んだ一杯だった
- 地ビールブームの到来と終焉
- どん底時代、「お客様の声」が私たちを動かした
- 売り上げは後回し、まずは組織づくりを優先
- 「ビールに味を!人生に幸せを!」を貫き通す
- 感謝の気持ちを込めて
学び・レビュー
なぜファンを大切にするのか
すばり次の2点と述べられています。
- 売り上げや収益を支えてくれる
- 友人知人の方に口コミ・推奨してくれる
売り上げや収益を支えてくれるというのは、マーケティング本でもよく出てくる「パレートの法則」に則られています。
パレートの法則とは、上位2割のお客様が売り上げ・収益の8割を支えていると言うものです。ファンに支えられているヤッホーブルーイングでは、本当によく当てはまっているそうです。実際に、ヤッホーブルーイングでは、購入金額の上位11%のファンの皆さんが売り上げの65%を支えているとのことです。
言わずもがなですが、ファンになっていただけると、安売りや販促キャンペーンがなくても継続的に購入いただけます。製品・会社を愛してくださっている仲間であり大切な存在であることがわかります。
友人・知人の方に口コミ・推奨してくれるというのは、新しいお客様=未来のファン候補を連れてきていただける、紹介していただけることです。
実際に、初めて購入した動機をお尋ねすると、友人知人におすすめされたからという方が大多数のようです。
また、イベントの来訪者もファンが7割、残りの3割が友人知人に連れてこられたという方だそうです。
どうやってファンになっていただけるのか
製品が良くて売り上げも一定上がっていたときに、より事業を拡大していくために行ったのが情緒的価値を提案していくことだったと述べられています。
どこのメーカーでも同じように考えているかとは思いますが、いかにそれを本当に実行できるかが重要だと感じます。
実際にファンの方々は、美味しい以外に、
- ほっとする
- 本来の自分に戻ったような気がする
- ニッチな製品を見つけた自分が何だか誇らしい
- よなよなエールが好きな人を見つけるとうれしい。仲間のような気がする
といったクラフトビールの味や香りの良さだけでなく、製品を通しての幸せな暮らしという情緒的価値を感じられていたそうです。
ヤッホーブルーイングは自然にファンの方に話を聴いて、深ぼって、自社の経営に活かされています。ですが、ここまで自然にできている会社はそう多くはないのではないでしょうか。
また、「USJを劇的に変えたたった一つの考え方」でもありましたが、マーケターは消費者理解の専門家であり代理人として、会社の頭脳であり心臓として、マーケティングが会社全体を引っ張れるようにありたいと思います。
ヤッホーブルーイングでは情緒的価値の具体的な提案方法として、ファンイベントを企画・実施されています。
- 醸造所見学
- 飲み会イベント
- ファンの方々との企画会議
特に有名なのが宴や超宴というファン同士の交流、ファンとヤッホーブルーイング社員との交流イベントです。
好き同士が合わさったときの共感の熱量は凄まじいものがありますし、ファンの方々と社員の方々が直に価値を分かち合えるのもとてもパワフルですよね。
いつもは楽天で注文していたけど、都内にあるビアレストランに行ったら交流が生まれてより好きになった…なんていうのも想像できますよね。
まとめ「18年連続増収を導いたヤッホーとファンたちとの全仕事」を読み終えた感想
この記事では、【ヤッホーとファンたちとの全仕事】(佐藤 潤)よなよなエールに学ぶ|要約・書評についてご紹介してきました。
マーケティングで提唱されていることを、実際に自社に置き換えて考え、推進できていることが素晴らしいのだと強く感じました。
また、多数いる社員の皆さんにその考え方が浸透していて、お客様に対して提案し体現できているというのが、製品だけにとどまらないヤッホーブルーイングの強みなのだと思います。
各施策の細やかな内容や功績は本書を読むとより理解が深まります。また、ヤッホーブルーイングの組織づくりやその背景も読み応えがあります。
お客様とのコミュニケーションを大切に、売り上げは後からついてくる、そんなお手本のようなことを事実として刻んでいる素晴らしい会社の物語でした。
- マーケティングの実務をしている方
- 起業を志している方
- 経営に携わっている方
- ファンづくりのヒントを得たい方
- お店を経営している方など
ぜひご一読ください!