【無敗営業】高橋浩一 営業職の方におすすめの本|要約・書評(後編①)
お疲れ様です。沖縄リーマンライフです。
TORiX株式会社代表取締役の高橋浩一さんの書籍【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」の要約・書評 後編①です。
前編では
- 本の概要
- 営業の本質的な課題:営業とお客さまとの間に生じるズレとは
についてご紹介してきました。
前編の記事はこちらでまとめていますので、あわせてご覧ください。
今回の後編①では、その「ズレに気づいて解消する営業力」-「3つの質問」についてご紹介していきます。
尚、ラスト後編②では、ズレに気づいて解消する営業力「4つの力」についてご紹介しています。
レビュー
スキル:「接戦を制する3つの質問」で情報ギャップを解消する
前提として、なぜ接戦を制する必要があるのか。
それは、案件や商談は大きく3つ「楽勝」「接戦」「惨敗」に分けられるとしていて、その中で、大多数を占めるのが「接戦案件」であり、かつ注力すべき案件だからです。
と言うのも、楽ないつもの案件ばかりを処理していても足腰が弱っていくと言われるとイメージができますよね。
いざ接戦になったときの強さを上げることで、結果として楽に勝てる案件の幅が広がり利益率も上がると語られています。
接戦のパターンについて見ていくと、より納得感があると思います。
接戦には
- 「他社と迷う」
- 「保留するか迷う」
- 「内製するか迷う」
の3パターンがあるとしています。実際、即決していただける方がまれで、ほとんどこのような接戦状況になりますよね。
接戦に強くなるためには、お客さまが何と何で迷っているのかを捉えた上で、アクションを見極めることが必要です。
ここで、次の3つの質問を使いこなすことで適切な動きが取れるようになり、お客さまとの間にある情報ギャップを解消していけるようになると述べられています。
接戦状況を問う質問
案件がどのような接戦状況であるかを把握するための質問です。
実際にお客さまに聞いて確かめるのですが、タイミングは早い方が良いとされています。案件発生直後〜自社が提案をした後などタイミングは様々あります。
BtoBのシーンを例に
- 案件発生直後なら「今回は弊社が提案をお出ししたらすぐに社内でご判断いただけるのか」
- 提案した後なら「この後すぐに社内でご判断されるのか、検討に時間がかかりそうか」
などを聞いてみます。
あっさり決まりそうかどうかに対して、Yesであれば楽勝もしくは惨敗。
Yesと返ってこない場合が接戦で、何がネックになっているのかを聞いていきます。
- 競合と迷われている:競合の社名、他社の提案状況、当社の暫定順位。聞けない場合はかなりビハインド
- 保留と迷われている:今発注(or購入)すべきかお客さまの方で確信が持てないケース。競合がいなくても、なぜ今当社に発注(or購入)した方が良いのかの受注ロジックを作る
- 内製と迷われている:外部に発注することの合意が社内で得られるかどうかの迷い。あえて外部に発注することの意味合いをお客さまの社内で合意形成していただく必要がある
これらを掴んだ上で、最後に「BANTCH」をヒアリングして、自社の提案が稟議に通るための条件を確認します。
- Budget(予算)
- Authority(決裁者)
- Needs(ニーズの抜け漏れや優先順位)
- Timing(検討や導入のスケジュール)
- Competitor(競合)
- Human Resources(お客さま側の人員体制)
決定の場面を問う質問
受注した後にお客さまに決定の場面を聞くことで、案件受注のために必要な行動としてやったことが適切だったのか、行動にズレがないかを確認できるようになります。
ここでポイントなのが、決定要因・理由を聞いても必ずしも本音が出てくるとは限らないので、「場面」を聞いて事実ベースで確認することです。
提案が良かったから、寄り添っていただいたからなどの理由ではなくて、
例えば「途中まで色々迷われたかと思いますが、どの瞬間に当社に決まったのでしょうか」と聞いてみると
- 「御社のプレゼン直後です」
場面を聞くことでプレゼンの内容自体に重要なポイントがあったということがわかります。どんなフレーズが刺さったのかなどを聞いておくと、今後のプレゼンにおける強調の置き方にも活かせます。 - 「他社のプレゼン直後です」
他社が地雷を踏んだということで消去法で選ばれたのです。こういった地雷を自分が踏まないようにするにはどうしたら良いのかを考えることでも示唆を得られるようになります。
このように見ていくと、決定の場面は理由よりもよりコアな情報が詰まっていて、意図してやった行動にズレがなかったかを確認できるようになります。
また、決定の場面・接戦案件を一人だけでなく組織で振り返ることで、学べる質量ともに上がり、最終的に勝ちパターンを作っていくことができるのも利点です。
会社としてブランドやバリューを体現するにも、最前線の営業パーソン、営業組織から型ができて行動で体現できることは非常に大切です。
そもそも振り返るということ自体が形骸化されがちですから、こういったシンプルかつ重要なことを目的にMTGを持つだけでも組織が向上していくと考えます。
もちろん、個人としてもズレを解消するスキルに磨きがかかりますので良い取組みですよね。
裏にある背景を問う質問
接戦状況と決定の場面を聞くことで「お客さまは結局、何が決め手で選ぶのか」に対する理解が進み、お客さまとの情報ギャップに対する感度が上がります。
つまりは、自分に見えていない背景を探ることが自然にできるようになると述べられています。
一つ、ズレてしまう営業パターンの例でわかりやすかったものをご紹介します。
他社の製品・サービスを使用しているお客さまから、「今、他の会社さんのサービスを利用しているのですが、いろいろと思うことがあって」とこぼされているシーンです。
もし営業パーソンでしたらどうされますか?
多くの方は丁寧に掘り下げようとせず、すぐに「でしたら、当社のサービスで」とカウンター、自社のセールストークにいってしまうというものです。
ハイパフォーマーの方はどうするかというと、「思うところとおっしゃいましたが、もう少しお伺いできますか」と良いタイミングと適切な間で、問いを投げかけることができると述べられています。
要はすぐに提案にいくのではなく、ズレないために情報ギャップの感度を高めて聞くのですね。
- それはどういうことなんですか
- なぜなのでしょうか
- 今まではどのように対応されてきたのですか
さらに踏み込んでお困りごとや課題に対する理解を深めます。
ただ、本音と建前があるので、実際はどうなのか、裏にはどのような事情や認識があるのかを探るのに必要な力が「裏にある背景を問う質問」です。
具体的には次のような質問でアプローチします。
- 枕詞
- もし仮にXXXという点がクリアされたら
- あくまで個人的なご意見で構いませんので
- 御社のビジョン実現にお役立ちするために伺いたいのですが
- 深掘り
- と、おっしゃいますと?
- 具体的には?
- なぜでしょうか?
- 他にはありますか?
- 特定
- 御社の課題について、特にここ1ヶ月議論されているものとしては、どのような課題があるでしょうか?
- 御社の課題として重要度が高いのは、AとBとではどちらでしょうか?
枕詞について見ていきます。
もし仮にご予算の枠というものがなかったなら、弊社の提案についてはどのようなご感想をお持ちでしょうか?
と聞くようなケースは、他社より価格が高くて品質に自信があるものの、お客さまの品質に対する認識や感想がまだ聞き出せていないとすると有効ですよね。
あくまで個人的なご意見で構いませんのでと添えることで回答するハードルが下がったり、
デリケートなことや心をまだ開いていただけていないお客さまに聞くときに、あらかじめ質問の意図を伝えておくことで答えていただきやすくなるなどです。
枕詞で切り込めていくと、まだ把握していない背景情報にあたっていきます。そこで深掘りするのです。質問技法を使って、さらなる発言を促すことがポイントです。
そうしていくうちにピンポイントで聞きたいことや仮説のアイデアが出てきますので、特定質問を出してやります。ある程度特定の観点や選択肢を付けて聞いた方が答えが得やすい、こちらが知りたいことについて具体的に知ることができるというメリットがあります。
お客さまと営業の間には大きな情報ギャップがありますが、裏にある背景を問う質問「枕詞」「深掘り質問」「特定質問」を使用して解消していきます。
まとめ【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」を読み終えた感想
今回は【無敗営業】高橋浩一 営業職の方におすすめの本|要約・書評 後編①について書いてきました。
後編①ということで、「3つの質問」についてフォーカスしました。
簡単に振り返ると、
案件発生時点から「接戦状況を問う質問+BANTCHの確認」がスタート、最終結果が出るまで継続します。
結果が出たら「決定の場面を問う質問」をします。いつ決まったのか、事実を確認して組織でも振り返ります。
そして、営業とお客さまの情報ギャップを埋めていくのが「裏にある背景を問う質問」です。これは常に行われるベーシックなスキルです。
改めて、意識的に質問技法が使えたり、組織的に振り返りが設計されていて、則って動けている営業パーソンの方は少ないのではないでしょうか。
- 質問技法については、ロープレなどで練習されるのが良いなと感じます。
- 組織での勝ちパターンづくりについては、営業マネジャーなどが主体的に、そうでなければ営業パーソンからボトムアップで実行されるのが良いと思います。
仮に、自分が担う事業の今後の成長をイメージしたとして、ビジョンの実現に向けて増員や支店増などでトップラインの売上を伸ばしたいとなったとき、
無敗営業で述べられているように、営業が科学されていることや、組織デザインもできている状態であるか否かがキーになると私は感じます。
次回はラスト後編②ということで、「4つの力」についてご紹介していきます。
前編はこちらからご覧ください。