【無敗営業】高橋浩一 営業職の方におすすめの本|要約・書評(前編)
お疲れ様です。沖縄リーマンライフです。
今回ご紹介するのは、TORiX株式会社代表取締役の高橋浩一さんの書籍【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」です。
営業職の方はよくあるシーンで想像しやすいかと思いますが、
- お客さまから「他社の方が安かったので」と言われて切り返せなかったり
- 決裁者になかなか会わせていただけなかったり
- 見積もりしか見ていただけず心を動かせなかったり
- 提案しても「検討します」と言われてそこからなかなかクロージングできなかったり
思ったようには展開を進められず難しい場面ってありますよね。
また、それに対して振り返ったり、自身の営業スキルを向上させたりする時間が結局取れていないといった悩みもありますよね。
そんな営業パーソンの皆さまに対して
- 営業の本質的な課題は何か
- それに対する普遍的なスキルは何か
を教えてくれるのが本書「無敗営業」です。
天才的な一個人の営業ノウハウを伝授するのではなく、
営業の本質的な課題=「営業とお客さまとの間に生じるズレ」を構造的に捉え、
「ズレに気づいて解消する営業力」を学ぶことができます。
こんな方におすすめの本です!
- 営業職の方
- 営業マネジャー・リーダーの方
- フリーランス・個人事業主の方
- 営業スキルを高めたい方
- 営業の型をつくり方
営業職でなく管理部門や間接部門などの方にとっても、ためになることが多数あります。ビジネスパーソンの皆さまにおすすめの書籍です。
前編では以下をご紹介していきます。
- 本の概要
- 営業の本質的な課題:営業とお客さまとの間に生じるズレとは
続く後編①では、そのズレに気づいて解消する営業力「3つの質問」についてご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ラスト後編②では、ズレに気づいて解消する営業力「4つの力」についてご紹介しています。
【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」の概要
高橋浩一さんの【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」ってどんな本?
2019年10月15日に発売された本で、全311ページあります。
仕事前に1日1時間の読書時間を確保できると、1週間で無理なく読み切ることができますね。
営業ノウハウが体系化されたもので、営業パーソンの皆さまにとっては非常に実践的な内容となっています。
よって
- 全部読み終わった後に振り返る(ロープレなど)
- 単元毎で区切って実践してみる
など時間をかけて読み進めていくのも良いと思います。
習ったことを実践で活かすことができれば素晴らしいですね。
著者の高橋浩一さんってどんな人?
- 東京大学経済学部卒業
- 外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で企業
- 企業研修のアルー株式会社へ創業参画(取締役副社長)
- 1日100件のテレアポ新規開拓や数十人の営業組織をゼロから作り、同社上場に向けた足がかりを作る
- 2011年にTORiX株式会社を設立し、代表に就任
- 上場企業を中心に50業種3万人以上の営業強化を支援
- 年間200本の研修、800件のコンサルティングを実施
- 日経ビジネス課長塾”THE営業力”でもメイン講師を務める
- 8年間、自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%を誇る
【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」の目次
- 序章 人見知りの少年が「無敗営業」になったきっかけ
- 第1章 営業とお客さまの「ズレ」は、情報ギャップから生まれる
- 我が家にやってきた勝率8割の営業パーソン
- 「お客さまは価格で決める」は本当か?
- 「価格、高いですね」の裏側で起こっていること
- 6人に1人の「アタリの営業」とは?
- 営業とお客さまの「ズレ」は、情報ギャップから生まれる
- 「ズレ」を解消できないとお客さまの不満につながる
- 第2章 情報ギャップを乗り越えて接戦を制する「3つの質問」
- 案件や商談を「楽勝」「接戦」「惨敗」で分ける
- 「いざ接戦になったときの強さ」が営業力を左右する
- 接戦は3パターンに分かれる
- 接戦では「認知的不協和の打破」が必要
- 接戦を安易に落としてはいけない
- 「接戦を制する3つの質問」で情報ギャップを解消する
- 接戦状況を問う質問
- 決定の場面を問う質問
- 「接戦の決定場面」という貴重な情報をどう生かすか
- 「接戦状況」と「決定の場面」を聞くことでアンテナが磨かれる
- 裏にある背景を問う質問
- 「これ以上聞いたら怒られる」ラインは手前に引いてしまいがち
- 「接戦を制する3つの質問」の位置づけ
- 第3章 お客さまとのズレを解消する「4つの力」
- 「接戦を制する3つの質問」を中心にPDCAを回す
- ほとんどの商談は、自分の想像と違う場面で決着している
- 「上流で決めている営業」と「戦う前に負けている営業」
- 最凶のライバルは、過去の「ガッカリ営業」である
- 「ズレ」にがっかりするお客さまの不満は4つに集約される
- お客さまとのズレを解消する「4つの力」
- 第4章 お客さまを深く理解する「質問力」
- 「質問してくれない」営業に対するお客さまの不満
- 「質問力」を活用した商談の進め方(基本)
- まずは会話のキャッチボールで土台を作る
- 切り込む「聞く」でヒアリングに入る
- 沈黙を恐れず、大事なことを深掘りして「聴く」
- 具体化する「訊く」で仮説検証やピンポイントの確認を
- 「質問力」を活用した商談の進め方(応用)
- 課題解決質問の流れは、現状把握の質問から始まる
- 理想と現状のギャップが出てきたら、深掘りする
- 気づいていただくには、視点を「未来」に移すことが必要
- 顕在化された課題を、質問力で自社の提案につなぐ
- 第5章 お客さまに必要とされるための「価値訴求力」
- 価値訴求力がなぜ必要か
- 価値の感じ方は人それぞれ
- 価値訴求の種類を四象限に分けて考える
- 価値訴求の一歩目は、「労務提供」「適量コミュニケーション」から
- 「好感」「共感」のレベルを高める
- 情報提供や人の紹介は「5つのC」で考える
- 満たされていないお客さまの優先課題に「プラスα」「提言」を
- 価値訴求力をどうレベルアップさせていくか
- 第6章 お客さまの意思決定を助ける「提案ロジック構築力」
- 提案内容の「ズレ」にはどんなものがあるか
- 提案書における「ズレ」が発生する原因
- 「提案ロジック構築力」を活用した商談の進め方(基本)
- 「要件整理」でお客さまの課題と自社の提案方針を見える化
- 要件整理をもとにした質問から、重要な気づきが起こる
- 「要件整理」のさらに先が必要になるとき
- 「提案ロジック構築力」を活用した商談の進め方(応用)
- 認知的不協和を「お客さまが当社を選ぶ理由」で解消する
- 対立ロジックから「お客さまが当社を選ぶ理由」を作る
- 他にも良い商品・サービスはあるのになぜ当社か-対・競合
- 先延ばしにしてもいいのに、なぜ今なのか?-対・保留
- 外注せずに内部でやる選択もあるのになぜ当社か-内製
- 上流で活躍するのは「要件整理」、下流が「対立ロジック」
- 第7章 お客さまと共に段取りを進める「提案行動力」
- 提案行動力とは何か
- 提案行動力は何によって左右されるか
- 「提案行動力」を活用した商談(コンペ型)の進め方
- コンペ案件で、お客さまにとって決め手になるもの
- コンペで選ばれる提案書とは
- プレゼンはクロージングからの逆算方式で考える
- 「提案行動力」を活用した商談(稟議型)の進め方
- お客さまは提案書を社内稟議でどう説明しているか
- 稟議型案件におけるクロージング
- 稟議型案件で怖い「なしのつぶて状態」をどうするか
- お客さまとのズレを解消する「4つの力」が備わった状態
- 第8章 「ルート型」「アカウント型」で4つの力を発揮する
- 営業モデルをリストの数で2つに分類する
- 「ルート型」「アカウント型」それぞれの特徴
- 勝ちパターンは営業モデルごとに異なる
- ルート型のハイパフォーマーとは
- アカウント型のハイパフォーマーとは
- ルート型・アカウント型によって「4つの力」の回し方が変わる
- おわりに
レビュー
前編では、営業の本質的な課題である「営業とお客さまとの間に生じるズレ」についてご紹介します。
続く後編にて、その「ズレに気づいて解消する営業力」についてご紹介していきますので、合わせてご覧ください。
営業の本質的な課題:営業とお客さまとの間に生じるズレとは
お客さまの選定基準は「費用対効果」への納得感
営業で成果が上がらないシーンでよくあるのが、価格で負けましたという展開や思い込みです。
実際にお客さまの購買を決定付けた要因をアンケートされたそうで、結果を見ると「とにかく他よりも金額が安い」ことよりも「費用対効果への納得感」の方が非常にスコアが高くなっています。
お客さまがちょっと高くて…とおっしゃり負けてしまう場面があると思いますが、
本当に他社との価格比較で高くて購入しなかったのか?費用対効果への納得感がなかったのではないかと確認せずに「提案は良かったんですが価格で負けました」となりがちではないでしょうか。
実際に、断った際の理由の建前と本音を聞いたアンケートでは、他社が安かったのでというのが建前でよく回答されているのに対し、費用対効果の本音は営業に伝えられず隠されがちだということも挙がっていました。
費用対効果が納得できないといったことは、営業へ回答するのが面倒だと感じる人が多いということですね。それとなく断りやすい文句で回答してしまおうということです。
では、お客さまから本音が聞ける信頼関係を構築するにはどうするかですよね。
わかってくれる営業であること
お客さまが信頼を寄せるハイパフォーマーな営業パーソンの特徴を知るために、アンケートをされています。
質問としては、もう一度会いたいと思える営業担当者に出会う確率を聞いていて、その期待値は6人に1人という結果が出ていました。
また、過去に出会った中で最高だと感じた営業担当者の特徴を教えてくださいと聞いた結果、「わかってくれる・意図を把握してくれる・的確・明確」が一番多く回答が集まったそうで、迅速や誠実さよりも際立ってちゃんとわかってくれるということが重視されています。
また、角度を変えて新規の取引先を検討するならその営業担当者に求めることを選んでください、という質問においても、「自分のことをわかってくれる」とズレない営業を求めています。あなたの課題を整理してくれる、や思い付かないような提案をしてくれるよりも群を抜いて高く出ていました。
6人に1人のズレないハイパフォーマーな営業がいる一方、ほとんどの営業パーソンはお客さまとズレてしまっているということでもあります。
顧客起点、お客さま目線、などそんなことわかっていて意識している。というのが正直なところかと思いますが、実際はズレてしまい、お客さまからはわかってくれる営業になれていないのです。そうしたいわけではないのになぜなのか。
お客さまと営業の間には大きな情報ギャップが存在し、それが「ズレ」につながるので、情報ギャップを埋めるコミュニケーションが、お客さまの理解や信頼獲得につながる
はっきりと意識しておくべきこととして、営業側はお客さまの背景について相当な情報不足に置かれている一方で、会社から「売る側の方針や目標」に関する情報を大量に受け取っていて、極端な情報ギャップがあるということです。
例えば、スーツやジャケット、ネクタイを買おうと売り場に行くと、「試着できますよ!」と迫ってくると。冷静に考えればそんな売り込まれたらお客さん逃げるでしょということをやってしまうと。
なぜなのか。例えば、試着してもらえれば買う確率が〜%上がるなどと示されていたり、試着を促す営業方針があるからなど、そこにはお客さまが試着を望んでいるかどうかという観点が欠けてしまっています。
また、目標などで今月はこの商品、今月までにいくらといった会話がなされることで、お客さまの悩みや課題よりも会社から課せられている達成すべきことへ関心が向いてしまっているのもあります。
なぜ買いに来たのか、ふらっと来たのか、前から欲しいものがあったのか、勝負服を見に来たのか、給料が入ったからとりあえずなのか、プレゼントなのか。わからないですよね。
このギャップを解消するためにはお客さまのことを理解するためのコミュニケーションが必要です。
著者の高橋さんの引っ越し一括見積の話も紹介されていました。
簡単に触れると、数社は簡単に荷物の内容や日付を聞いて見積額を提示しただけなのに対し、一社は雑談からスタートし、自社の番手や他社の見積状況、家の中の荷物を一緒に見て使い方などを聞いて事情をくみ取ったりされたそうです。
どこでもやっているような食器専用の段ボールや、引っ越し後の段ボール引き取りサービスなど、一つ一つ事情を聞いた上で提案されるのとではまるで印象が異なりますよね。
結局値段が他より高くても、他社と差別化された商品でもなくても勝率は8割もあるとのエピソードでした。
まとめ【無敗営業】「3つの質問」と「4つの力」を読み終えた感想 前編
今回は、【無敗営業】高橋浩一 営業職の方におすすめの本|要約・書評 前編について書いてきました。
お客さまにとってわかってくれる営業パーソンが求められていて、わかってはいてもできていないことが多いというのが事実でした。
背景にはお客さまの情報はあまりない中、質問やヒアリングが不足したまま提案説明に入ってしまっているのがズレているケースとして多そうです。
続く後編①にて、そのズレに気づいて解消する営業力「3つの質問」についてご紹介しています。あわせてご覧ください。
また、ラスト後編②では、ズレに気づいて解消する営業力「4つの力」についてご紹介しています。こちらも最後にご覧ください。